きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

『コンビニ人間』村田沙耶香

芥川賞受賞作です。主人公は、コンビニ店員として働く事で社会の歯車になれていることを実感できており、仕事もやりこなします。本書が、訴えかけてくるものは、普遍的なものであるような気がしました。

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

村田沙耶香(1979~)

千葉県生まれ。玉川大学文学部卒業。2003年「授乳」が第46回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。

あらすじ

6歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

[感想]

冒頭から引き込まれ一気に読んでしまいました。徹底的に周りに合わせ、普通であろうとする、36歳女性 コンビニ店員の主人公、古倉。対して「この世界は間違っている」と毒づく男性、白羽。古倉が価値を置いているのは「コンビニで働くことで、普通の人間っぽく振る舞えるようになる」ことです。対して、白羽は「結婚して起業する」「誰からも文句を言われない生活をする」ことを目標としています。世間の一般人とは異なる、特別な自分になることで、今まで自分を馬鹿にしてきた人たちを見返すことに価値を置いています。自分の周りにもこういう人間いるなと思いつつ、私自身にもそういう一面があると感じながら読み進めました。作中ではコンビニに喩えられていますが、学校であるかもしれないですし、会社だったりするかもしれません。普通とは何か考えさせられました。