『たたかう植物――仁義なき生存戦略』稲垣栄洋
雑草の知識ってほとんどないですよね。私は本著をみるまで、恥ずかしながら興味もあまりなくて、なんで読もうと思ったかというと友達に薦められたからで、私もだれかにオススメしたい一冊になりました。
- 作者: 稲垣栄洋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/08/05
- メディア: 新書
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稲垣栄洋(1968~)
静岡県生まれ。植物学者、静岡大学教授。
1.植物の成功戦略
C戦略(コンペティティブ)・・・激しい競争を勝ち抜くことで成功する植物。強い植物。
S戦略(ストレス・トランス)・・・ストレス環境に耐える力を持ち、過酷な環境に棲む植物。
R戦略(ルデラル型)・・・荒野にいきる植物。環境の変化に強い。
雑草のR戦略- よく草取りをされる畑や、よく踏まれる道端にはえる。
- いざというときに備えて、地面の下に種を準備させている(シードバンク)。
- 人類の活動と幸福、繁栄に対して、これに逆らったり、妨害したりする植物。
2.植物 vs 恐竜
- 植物は恐竜の食害を防ぐために体を大きくし、植物が巨大化すれば草食恐竜も巨大化した。
- 植物はアルカロイドという毒成分を身に付け、それを食べた恐竜たちが中毒死していった。
3.植物 vs 人類
植物と子供の利害の一致植物は食べてもらうために実を甘くし、食べられないために緑色で目立たなくして苦味を持たせる。子どもがピーマンや苦瓜を嫌うのは生物として正常な反応。
人類が植物の持つ毒成分- ホルミシス効果をあげるから
- 幸福感を与えてくれる
植物の毒は人間を殺すほど強いものではない。人間の体は弱い毒の刺激を受けて防御体制に入り、その緊張感が生きるための能力を活性化させる。
人間の体は、体内に摂取された毒成分を無毒化し、排出しようと活性化すると同時に、鎮痛作用のあるエンドルフィンまで分泌してしまう。
[感想]
かなり面白かった。筆者は、雑草生態学を専門としている農学博士で、他にも多くの著書も出しているようだ。学者には珍しい、これだけ楽しく、かつ、分かり易く生物学を語れる文才に惹かれた。他の著書をもっと読んでみたいと思わせてくれる本書だった。自分の中で雑草に対する考え方が変わった。