きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

2019-01-01から1年間の記事一覧

『蜜蜂と遠雷』恩田陸

文庫化されたことと映画化も重なって読んでみました。実は映画を先に見てしまって、その後本屋に寄って帰りました。ピアノを弾ける人に昔から憧れているからか、音楽を題材とする作品はかなり好きです。 蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)作者: 恩田陸出版社/メー…

『コンビニ人間』村田沙耶香

芥川賞受賞作です。主人公は、コンビニ店員として働く事で社会の歯車になれていることを実感できており、仕事もやりこなします。本書が、訴えかけてくるものは、普遍的なものであるような気がしました。 コンビニ人間 (文春文庫)作者: 村田沙耶香出版社/メー…

『ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ

人間は、ただアルゴリズムで、あるパターン則ってデータを処理しているだけらしいです。将来、人工知能が人間の能力を凌駕するようになったとき、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊するのでしょうか? ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来作…

『ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ

話題になっていたので読んでみました。最近ではスマホが登場して人々の生活に欠かせないものになったり、目まぐるしく世の中が変化していっています。著者は、格差が想像を絶するものになるといいます。 ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来作…

『世界から猫が消えたなら』川村元気

私のお気に入りの一冊です。川村さんの初小説とのことですが、とても引き込まれてあっという間に読み切ってしまいました。佐藤健さん主演で映画化もされていますが、原作である本著を読んでほしいです。 世界から猫が消えたなら (小学館文庫)作者: 川村元気…

『チャンス』太宰治

今度、小栗旬さん主演で映画がありますね。この作品では彼の恋愛論が語られていています。青空文庫にもありますし、短いので興味ある方は一度見てみると面白いと思います。核心をつくような内容でした。 チャンス (青空文庫POD(ポケット版))作者: 太宰治出…

『劇場』又吉直樹

『火花』を読んでから、随分経ったなと思いました。今作も、大変面白く読ませて頂きました。文庫化されたようで買ってみました。特に、文豪たちがサッカーをするシーンは読みながら笑ってしまいました。 劇場作者: 又吉直樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2…

『鍵のない夢を見る』辻村深月

この作品は、直木賞を受賞した際に読んだ本です。いま思えばこれが辻村深月さんとの出会いでした。地方の街でささやかな夢を見る女たちの暗転を描いた素敵な作品で、辻村さんの本で一番好きな作品です。 鍵のない夢を見る (文春文庫)作者: 辻村深月出版社/メ…

『草の花』福永武彦

同性愛について描いてある作品を探していたところ出会いました。私は福永武彦さんを知らなかったのですが、とても繊細で、行間にさえ詩的な余韻を残す美しい作品でした。ほかの作品も読んでみたいです。 草の花 (新潮文庫)作者: 福永武彦出版社/メーカー: 新…

『もしもあなたが猫だったら?――「思考実験」が判断力をみがく』竹内薫

著者は「思考実験」=脳内シチュエーションを刺激的なゲームであると同時に、科学的思考法を身につける絶好のトレーニングだと言います。私はいつも寝る前に考え事するのが好きだから、気になりました。 もしもあなたが猫だったら?―「思考実験」が判断力をみ…

『麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ』山田昌治

麺というと、私はラーメンをイメージします。うどん、素麺、蕎麦、スパゲッティなどたくさんの麺に溢れています。もはや文化ですね。本書は、麺という食文化のすばらしさを科学の視点で伝えてくれます。 麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ (ブ…

『おぞましい二人』エドワード・ゴーリー

私は幼い頃に絵本を読んだ記憶はないです。ということは、物心ついて初めて読んだ絵本はこの作品になるのでしょうか。紹介してもらって興味を持ったのですが、エドワード・ゴーリーを初めて知りました。 おぞましい二人作者: エドワード・ゴーリー,柴田元幸…

『ネットフリックスの時代――配信とスマホがテレビを変える』西田宗千佳

小学生の頃と比べて、テレビは見なくなってしまいました。私自身はネットフリックス契約していませんが、本書では、それに代表される映像の見方の変化が、我々の生活にもたらす影響を考察してあります。 ネットフリックスの時代 配信とスマホがテレビを変え…

『センスある日本語表現のために―語感とは何か』中村明

「語感」って何かと聞かれると、説明するのは難しいですよね。感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。本書は、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供してくれる内容でした。 センスある日本語表現のために―語感とは何か (中公新…

『アスペルガー症候群』岡田尊司

この本を手にとったことには理由があります。その理由については感想の部分で書こうと思いますが、アスペルガー症候群の人とどう付き合っていくかのヒントを探すためにこの本を読んでまとめてみました。 アスペルガー症候群作者: 岡田尊司出版社/メーカー: …

『「子供を殺してください」という親たち』押川剛

究極の育児・教育の失敗ともいえる事例から見えてくることを分析し、その対策を検討する衝撃のノンフィクションでした。調べると、同タイトルのコミックスを見つけたので、今度読みたいと思いました。 「子供を殺してください」という親たち(新潮文庫)作者…

『躁と鬱――波動に生きる』斎藤茂太

梅雨も明けて夏が始まりました。天気と同じように、人は大なり小なり「躁」や「うつ」の感情の波動の中に生きています。病的な症状に陥る場合もありますが、それを様々な症例をあげて解きあかす本です。 躁と鬱―波動に生きる (中公新書 580)作者: 斎藤茂太出…

『健全な肉体に狂気は宿る――生きづらさの正体』内田樹 春日武彦

「『自分探し』と『自己実現』に疲れ果てた人へ」という言葉に惹かれました。なぜか最近はこのような本を好んで読んでます。少し疲れているのでしょうか。それともひとの心理に興味があるのでしょうか。 健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテ…

『不幸になりたがる人たち――自虐指向と破滅願望』春日武彦

世の中には時々、不幸や悲惨さを選びとっているとしか思えない人がいる。「この過酷な人生を生きてゆくために、奇妙なロジックを考えだし、不幸を先取りしなければ生きてゆけなくなった人たち」という。 自虐指向と破滅願望 不幸になりたがる人たち (文春新…

『依存症』信田さよ子

著者は、「依存症」とは、時代の要請に応え、走り続けようとした日本の「近代」の陥穽、家族共通の病だという。本書は、カウンセリングを通して、依存症を正面に捉えて取り組む著者の姿勢の表現でした。 依存症 (文春新書)作者: 信田さよ子出版社/メーカー: …

『ネット依存症』樋口進

私の1日の始まりはSNSを見ることから始まります。いつから、こんなにインターネットを利用するようになったのか記憶も定かではなくなってきました。「ネット依存」に焦点があてられた本を紹介します。 ネット依存症 (PHP新書)作者: 樋口進出版社/メーカー: …

『人工知能の「最適解」と人間の選択』NHKスペシャル取材班

人工知能が、研究室を飛び出し、現実社会に進出しています。膨大な計算力を背景に導き出される「最適解」に我々はどう向き合えばいいのか。現場取材を基に人工知能と社会のかかわりを展望する一冊です。 人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書)…

『顔の現象学』鷲田清一

人ごみを歩くと、様々な顔が見えます。すれ違う顔もあれば、微笑みかけてくる広告もあります。他人との共同的な時間現象として出現する曖昧微妙な顔を、現象学の視線によってとらえる興味深い本でした。 顔の現象学 (講談社学術文庫)作者: 鷲田清一出版社/メ…

『棋士とAI――アルファ碁から始まった未来』王銘琬

私は『ヒカルの碁』を観たくらいで囲碁のルールは知らないですが、アルファ碁の存在は耳にしたことがありました。囲碁という世界で、今後どのようにAIと関わっていくか気になって、手に取ってみました。 棋士とAI――アルファ碁から始まった未来 (岩波新書)作…

『神、この人間的なもの―宗教をめぐる精神科医の対話―』なだいなだ

宗教の呪縛と、それからの解放が繰り返されてきたという。教義や信仰のあり方からではなく「信じる」ことを求めてしまう人間の方から、宗教とは何かを考えていき、社会、歴史まで問いを重ねてあります。 神、この人間的なもの―宗教をめぐる精神科医の対話 (…

『世界で一番美しい ペンギン図鑑』

好きな動物は?と聞かれたらペンギンと答える人多いと思います。以前、長崎県のペンギン水族館に行きました。水族館も好きなんですがペンギンに癒されました。今回は家にあるペンギン図鑑を紹介します。 世界で一番美しい ペンギン図鑑: 絶景・秘境に息づく …

『パノラマ島綺譚』江戸川乱歩

いまドラマ『あなたの番です』で話題になっている推理小説ですね。私が江戸川乱歩を初めて耳にしたのは『名探偵コナン』で、今回初めて読んでみました。ネタバレ込みで書きますので気を付けてください。 パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (…

『海の歴史』ジャック・アタリ

私は海が好きで、よく海をみるために旅行します。そんな海は、宗教、文化、技術、企業、国家、帝国の推移にきわめて重要な役割を果たし、水がなければ生命は存在しない、水は生命の乗り物だといえます。 海の歴史作者: ジャック・アタリ,林昌宏出版社/メーカ…

『「死」の教科書―なぜ人を殺してはいけないか』産経新聞大阪社会部

本書の冒頭には「新聞は、なにか事があると、『命の大切さ』を訴える。校長先生は、なにか事があると『命の大切さ』を訴える。」とあります。タイトルとは裏腹に、社会問題について考えさせられました。 「死」の教科書―なぜ人を殺してはいけないか (扶桑社…

『死の人類学』内堀基光 山下晋司

至上の超越者である「死」を、人間がどのように文化の中に組み込んできたのでしょうか。本書では、死に対する人間の態度を描こうとするものです。「死」を扱った本の紹介が多くて申し訳ないです(笑)。 死の人類学 (講談社学術文庫)作者: 内堀基光,山下晋司…