きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『パノラマ島綺譚』江戸川乱歩

いまドラマ『あなたの番です』で話題になっている推理小説ですね。私が江戸川乱歩を初めて耳にしたのは『名探偵コナン』で、今回初めて読んでみました。ネタバレ込みで書きますので気を付けてください。 パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (…

『海の歴史』ジャック・アタリ

私は海が好きで、よく海をみるために旅行します。そんな海は、宗教、文化、技術、企業、国家、帝国の推移にきわめて重要な役割を果たし、水がなければ生命は存在しない、水は生命の乗り物だといえます。 海の歴史作者: ジャック・アタリ,林昌宏出版社/メーカ…

『「死」の教科書―なぜ人を殺してはいけないか』産経新聞大阪社会部

本書の冒頭には「新聞は、なにか事があると、『命の大切さ』を訴える。校長先生は、なにか事があると『命の大切さ』を訴える。」とあります。タイトルとは裏腹に、社会問題について考えさせられました。 「死」の教科書―なぜ人を殺してはいけないか (扶桑社…

『死の人類学』内堀基光 山下晋司

至上の超越者である「死」を、人間がどのように文化の中に組み込んできたのでしょうか。本書では、死に対する人間の態度を描こうとするものです。「死」を扱った本の紹介が多くて申し訳ないです(笑)。 死の人類学 (講談社学術文庫)作者: 内堀基光,山下晋司…

『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』原田曜平

以前と比べて、ヤンキーって減ってますよね。本書によると、ヤンキーという言葉の発祥は1970年代という説が濃厚らしいです。そして、彼らはこれからの日本社会における有力な消費者となるといいます。 ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)…

『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』枝廣淳子

度々一極集中が問題となり、地方との格差が話題になります。本書では持続可能で幸せなものにするためにどうしたらいいのかと考えていきます。「未来は地域にしかない」という考えに、私は共感しました。 地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)…

『男子劣化社会』フィリップ・ジンバルドー

草食系男子が囁かれるようになって久しいけれど、日本だけでなく、アメリカでも同様であるらしい。さらに、先進国の若い男性は総じて、家に引きこもってゲーム・ポルノに興じる傾向にあるだといいます。 男子劣化社会作者: フィリップ・ジンバルドー,ニキー…

『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』ピーター・ゴドフリー=スミス

タイトルに惹かれました。本書では、頭足類にmindが備わっていることを示唆するエピソードがいくつも紹介されています。頭足類と人間は大きく異なりますが、人間と相対化して読んでいくと面白いです。 タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源作者: ピー…

『〈運ぶヒト〉の人類学』川田順造

アフリカで生まれ、二足歩行を始めた人類は、空いた手で荷物を運び、世界にちらばっていった。この〈運ぶ〉という能力こそ、ヒトをヒトたらしめたのではないか?と人類学に新たな光を当てる冒険の書。 〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書)作者: 川田順造出版社/…

『ミルクと日本人』武田尚子

対価を払って牛乳を入手するのは経済的領域であるが、牛乳が栄養価の高さから、対価の支払いが可能な層だけ牛乳を飲んでいればよかったわけではなかったらしい。牛乳を通して近現代社会を探索する一冊。 ミルクと日本人 - 近代社会の「元気の源」 (中公新書)…

『残業税 マルザ殺人事件』小前亮

最近、働き方改革という言葉をよく聞くようになりました。短編集『残業税』の続編の長編小説で、マルザと呼ばれる残業税調査官が殺された!ところから話が進みます。働くことについて考えさせられます。 残業税 マルザ殺人事件 (光文社文庫)作者: 小前亮出版…

『イメージを読む―美術史入門―』若桑みどり

企業も役所も学校もイメージを利用しなければ、製品を売ることも、共同体をまとめることも、心をひきつけることもできません。無数のイメージに取り巻かれ、その影響を受け、それと共に暮らしています。 イメージを読む―美術史入門 (ちくまプリマーブックス)…

『〈西洋美術史を学ぶ〉ということ』高階秀爾 千足伸行 石鍋真澄

突然ですが、美術館に行くことありますか?私は美術館の企画展によく行きます。もちろん観るだけでも得られるものは大きいのですが、やっぱり前提知識があれば更に楽しめたなと毎度反省してしまいます。 “西洋美術史を学ぶ”ということ作者: 高階秀爾,石鍋真…

『AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか』江間有沙

人工知能は社会にどのような変化を起こすのかを、感情論に流されず、その舞台裏を含めて整理されています。だれがどんな議論をしているか、今後どのような議論が重要かを教えてくれるような本著でした。 AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか (DOJIN選書…

『<対話>のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの』中島義道

著者は、なぜ日本の人々は無意味で暴力的な言葉の氾濫に耐えているのか?と問いかけ、日本的思いやり・優しさこそが、<対話>を妨げていると指摘する。少し懐疑的に読みましたが、面白い一冊でした。 「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの (P…