『砂糖の歴史』アンドルー・F・スミス
甘いものは好きですか?私は大好きです。多くの人が口にするようになったのはこの数百年で、人類を魅了してきた砂糖の歴史について描かれた本を読んでみました。食べ物の歴史は興味深いものがあります。
- 作者: アンドルー・F・スミス,Andrew F. Smith,手嶋由美子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2016/01/22
- メディア: 単行本
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アンドルー・F・スミス(1946~)
ニューヨークのニュースクール大学で食物学を教えるかたわら、食べ物や料理の歴史に関する書籍や記事を多数執筆する。
1. 砂糖の起源
「サトウサビから甘い汁を搾りだし、砂糖の結晶へと変えるプロセスは複雑だ。」(p.12)
最初に長期保存がどのように可能なかたちに変えられたのか、について考察する。精製糖の利点はさまざまに加工できるだけでなく、他の材料と簡単に混ぜ合わせることができる。また、サトウキビが育たない地域にも輸送できた点は大きかった。
2.菓子とキャンディ
「食べものに十分な量の砂糖を加えると、砂糖は微生物の活動を抑える保存料の働きをする。」(p.102)
このおかげで、砂糖を使った商品を遠くまで運ぶことができるようになった。また、サトウキビが育たない地域にも、お菓子やキャンディがもたらされるようになった。
3.砂糖天国アメリカ
「『加工品の砂糖化』が最も進んでいるのがアメリカだ。」(p.134)
1870年代、アメリカのひとり当たりの年間砂糖消費量は41ポンドで、1901年には61ポンドに達した。甘味の魅力が最大になる点を表す「至福ポイント」を正確につかめるようになった。砂糖が入った食べものの飲みものの消費が急激に伸びたと同時に、肥満が社会問題化し、加工食品やファストフード業界に対して厳しい批判の目が向けられるようになった。
4.砂糖がもたらしたもの
「おもに心配されたのは、砂糖の摂取と虫歯の関係である。」(p.156)
多くの健康改革論者から、砂糖は糾弾されてきた。また、糖尿病や肥満の増加に対する懸念から、ノンカロリーや低カロリーの人工甘味料が考案された。アメリカでは、人口61パーセントが過体重に当たり、総医療費の30~40パーセント(約1兆ドル)も砂糖の過剰摂取と密接に関わる問題の解決に使われている。
[感想]
キッチンに砂糖が常備されている時代で、初めて砂糖を口にしたときの喜びは想像するのが難しい。本著をみると、砂糖の歴史をなぞることで、世界史で学んだ歴史の裏側が垣間見えて面白かった。しかし、砂糖には「少なくともニコチンと同じくらい中毒性が高く、有害」(p.165)といった指摘があるように、健康のことも考慮して砂糖と付き合っていきたいと思った。