『ネット依存症』樋口進
私の1日の始まりはSNSを見ることから始まります。いつから、こんなにインターネットを利用するようになったのか記憶も定かではなくなってきました。「ネット依存」に焦点があてられた本を紹介します。
- 作者: 樋口進
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2013/11/16
- メディア: 新書
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樋口進(1945~)
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長。
1.「ネット依存」とは
1995年からピッツバーグ大学で研究を始めた心理学者のキンバリー・ヤング博士は、「インターネットに過度に没入してしまうあまり、コンピューターや携帯電話が使用できないと何らかの情緒的苛立ちを感じること、また実生活における人間関係を煩わしく感じたり、通常の対人関係や日常生活の心身状態に弊害が生じているにもかかわらず、インターネットに精神的に嗜癖してしまう状態」と定義づけた。
2.「ネット依存」による心と身体
心の健康問題として顕著なのは、昼夜逆転を含む睡眠の障害だそう。健康面の問題点は、間が悪くなる、運動不足による体力の低下、頭痛、肩懲り、寝不足からくるだるさ、吐き気、倦怠感、栄養障害などが挙げられています。
3.「ネット依存」は治療できるのか
「どんな依存症も、出発点は『本人の自覚』からです。」(p.162)
本人の自覚なしに、単にネットやゲームを取り上げても拒否反応が出るだけで、何の解決にもならない。そして、その時に助けとなるのが、やはりネット依存というものを理解した家族の存在という。
[感想]
WHOがゲーム依存を疾病認定すると報道されて以来、気になっていました。本書は、インターネットと深く関わらざるをえない現代を生きる私たちにとって、とても身近な依存症といえるネット依存症について、その現実と向き合い試行錯誤する医療現場からのレポートとなっています。インターネットに触れない時間を意識的に作ったりするなど、距離感を大切にしていきたいと思わされました。