きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

『ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 』マイケル・ピュエット クリスティーン・グロス=ロー

私たちは、パターン化された反応に陥りがちだという。気づかないうちに、常に決まった行動をして、これまで通りの行動にしばられず、自分を変える可能性を限定しないためにはどうすればいいのだろうか?

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (ハヤカワ・ノンフィクション)

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (ハヤカワ・ノンフィクション)

  • 作者: マイケル・ピュエット,クリスティーン・グロス=ロー,熊谷淳子
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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マイケル・ピュエット(??~)

ハーバード大学東アジア言語文明学科の中国史教授。ハーバード大学カレッジ教授賞を受賞。

クリスティーン・グロス=ロー(??~)

ハーバード大学で東アジア史の博士号を修得。

1. 本当の自分を探してはいけない

私たちは自分が何者かを見出し、ありのまま受け入れようともがくが、そうして見出したものは、あるとき、ある場所での自分を写したスナップ写真に過ぎず、自分自身にレッテルをはっている。そうしたレッテルを受け入れることで、それが固定化するのをみすみす許し、自己を閉じ込めている。西洋人が真の自分と定義しているのは、実際は人や世界に対する反応に過ぎない。自分の行動パターンを少し変えることで自分の別の面が表に出てくるようになり、より良い人間へと成長し始める。

2.小さいことをないがしろにしてはいけない

人々が行動を改めることなしに変化は起こらない。そして行動を改めるには小さいことから始めなければならない。人生の脈略や複雑さを凌駕する倫理的、道徳的な枠組みはない。あるのは煩わしい現実世界だけで、私たちはそのなかで努力して自己を磨くしかない。人生は日常にはじまり、日常にとどまる。その日常のなかでのみ、真に素晴らしい世界を築き始めることができる。

3.人生の大きな決断で失敗するのはなぜか

世界に条理があると考え、世の中には揺るぎないもの、私の強みと弱み、不変な世界、世界のなかのわたしの居場所があると考えてしまうから。私たちは目標を達成するために何ができるか具体的に計画を練る、例えば職業を決める場合は、自らを分析して自分が信じる固定化した自己像の定義に基づいた職業の道を歩みだす。しかし、自分の思う自己像は自分が陥っている一連の行動パターンでしかない。

4.転変きわまりない世界に生きるとは

世界も環境も私たちも変化している。世界が安定していると解釈すると、運命を感じるか、自由意志を信じるかの二つの道しかない。運命を信じれば、何かを諦めることを許すことになるし、私たちがあてにしている言葉や価値観は本当はなんの根拠のないものである。私たちは、人の行為がかならず報われる道義にかなった安定した宇宙に生きていないということを受け入れなければならず、悲劇が起きるのを否定してはいけない。はっきりした指針や安定した世界があるという観念を捨てれば、心が道案内してくれる。

[感想]

私は、自分自身をとても運がいいと思っています。辛いことも多かったですが、立ち止まって考えた時、周りの人に気にかけられていたことに気づかされました。周りの人に恵まれている私は、幸せ者だと思います。日常の中の人びととの関係性にこそ人生を大きく変える力があることを教えてくれる本著ですが、そのことが身にしみました。これからの生活でも、毎日の生活で出会う人々に心から感謝したい。