きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

『男子劣化社会』フィリップ・ジンバルドー

草食系男子が囁かれるようになって久しいけれど、日本だけでなく、アメリカでも同様であるらしい。さらに、先進国の若い男性は総じて、家に引きこもってゲーム・ポルノに興じる傾向にあるだといいます。

男子劣化社会

男子劣化社会

フィリップ・ジンバルドー(1933~)

アメリカ合衆国の心理学者であり、スタンフォード大学の名誉教授。

失敗の苦しみがないゲームとポルノに走る

男女関係において、男の役割は多様化した。昔のように強い男を演じていればいいというわけではなくなった。優しさや礼儀正しさを求められる一方で、場合によっては強さも求められる男子は、もう男女関係においてどのように振る舞ったらいいのかわからなくなっているというのだ。そんな彼らが行き着くのは現実の恋愛ではなく、決して拒絶されることがないネットとポルノ。子供時代から欲しいものを与えられ、トラブルは事前に取り除かれて育ってきて、辛抱強さも成功のための努力も学ばなかった。失敗の苦しみに耐えられなくなった男子は、自分で結末をコントロールでき、拒絶される恐れもない安全地帯、すなわちゲームとポルノに逃げ込むようになった。

[感想]

感想を書くのが難しい。まず『男子劣化社会』というタイトルに惹かれて、手にとったけれど原題は『Man (Dis)Connected』らしい。男が弱くなった現象は世界的なものでオンラインポルノとゲームと批判的に書いてあるが、そこは平和になって男女平等に近づきつつあることが要因だと思っている私は少し腑に落ちなかった。症状、原因、解決法が綺麗に整理され読みやすいけれど、「人は社会のために生きる」という価値観が強要されているようだった。私自身は、男子劣化の原因は、進化しているはずの社会のあり方そのものではないかと思った。