きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』原田曜平

以前と比べて、ヤンキーって減ってますよね。本書によると、ヤンキーという言葉の発祥は1970年代という説が濃厚らしいです。そして、彼らはこれからの日本社会における有力な消費者となるといいます。

ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)

ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)

原田曜平(1977~)

慶應義塾大学卒業後、(株)博報堂入社。

1.地元から絶対に離れたくない若者たち

「彼らは絶対に、地元を出て生活したくないと言います。」(p.53)

日本全国で増加している地元志向の強いマイルドヤンキーたちは、決して郷土愛が強いわけではなく、単に「昔と変わらない生活」を望んでいるという。地元愛が強いといっても、郷土の具体的な良さ(名産品や郷土史、名士のエピソードなど)ではなく「地元友達がいるから」という答えが圧倒的に多いという。

2.マイルドヤンキーの成立

「情報インフラの発達によって、あまりにも多くの情報が雪崩れ込んでくるなか、自分は何者なのか、何が好きで何ができるのかといったアイデンティティを見失ってしまった若者たち。そんな彼らは、ある特定の方向性やキャラクターを帯びる集団に所属することで、自分のキャラを設定しようと試みます。」(p.76)

自分がその他大勢に埋もれないよう、自分は何者であるかを確認する「自分探し」のプロセス。それがチーマーやカラーギャングとしての活動というわけらしい。

3.これからの消費の主役に何を売るのか

  • 高級ブランドがおトクに買える、かわいいアプリ
  • ご近所に恥ずかしくない子供服
  • アマチュア家庭教師マッチングサービス
  • 手軽な非日常(ハロウィン、外車...)
  • 格安運転代行サービス
  • 望むのは何よりも「安定」
  • 地続きで平穏な日々のための消費

[感想]

GDPに換算される経済的な豊かさを絶対視し、地元を捨て、地縁を捨て、血縁を捨ててきた日本人と対比させて、地元や地縁や血縁を拾い直しているマイルドヤンキーたちの「地続きの生活」を紹介してる。本書の一番のメッセージは、若者が消費しないと言われるなかで、マイルドヤンキーたちは消費意欲を持った案外「優良な若年消費者」であり、未来の日本経済は、「(マイルド)ヤンキー経済」が牽引していくだろうということだった。勉強をそれなりして、奨学を金かりてまで、大学に通ったことが果たして正解だったのか、考えさせられた。とりあえず、大学で勉強を頑張りたい。