『アスペルガー症候群』岡田尊司
この本を手にとったことには理由があります。その理由については感想の部分で書こうと思いますが、アスペルガー症候群の人とどう付き合っていくかのヒントを探すためにこの本を読んでまとめてみました。
- 作者: 岡田尊司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2013/05/31
- メディア: Kindle版
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岡田尊司(1960~)
香川県生まれ。精神科医。医学博士。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。
1.アスペルガー症候群とはどんなものか
アスペルガー症候群とは、それを最初に報告したオーストラリアの小児科医、ハンス・アスペルガーにちなんで名づけられたものである。興味深かったのは、親と教師の間でしばしば評価の食い違いや対立が見られることにも触れている。親はわが子の独創的でユニークな発想から知的能力が高いと考えるが、教師は学校の勉強に関心を示さなかったり、教えられた通りにやらなかったりするため、低い評価をしがちらしい。注目すべき点は、アスペルガーが、このタイプに備わっているデメリットとなりやすい傾向だけでなく、大きな価値を生み出す可能性にも着目していることである。
2.アスペルガー症候群の症状とはどのようなものか
3つの大きな症状とは
- 社会性の障害
- コミュニケーションの障害
- 反復的行動と狭い興味――一つのことに囚われ続ける
その他の特性や伴いやすい問題とは
- 感覚が繊細である
- 動きがぎこちなく、運動が苦手な人が多い
- 端整な容貌と大きな頭をもつ
- 整理整頓が苦手で、段取りが悪い
- 癇癪やパニックを起こしやすい
- 夢想や空想にふける
- 小さい頃、「注意欠陥/多動性障害」と診断されることもある
- 不安やうつなどの精神的な問題を抱えやすい
3.アスペルガー症候群と七つのパーソナリティ・タイプ
青年期から成人期に見られるタイプ
- 他人に関心が乏しいシゾイドタイプ
- 傷つくことを恐れる回避性タイプ
- 発想豊かだが変わり者に見られるスキゾタイプ
- 細部にこだわる強迫性タイプ
- 自分が大好きな自己愛性タイプ
- アイデンティティが揺れ動く境界性タイプ
- 思い込みに囚われる妄想性タイプ
4.アスペルガー症候群とうまく付き合う
- 枠組みをしっかり作り、ルールをはっきり示す
- 過敏性に配慮する
- 本人の特性を活かす
- 弱い部分を上手にフォローする
- トラブルを力に変わる
5.進路や職業、恋愛でどのように特性を活かせるのか
アスペルガー症候群の強みとなる特性とは
- 高い言語的能力がある
- 優れた記憶力と豊富な知識がある
- 視覚的処理能力が高い
- 物への純粋な関心がある
- 空想する能力がある
- 秩序や規則を愛する
- 強く揺るぎない信念をもつ
- 持続する関心、情熱をもつ
- 孤独や単調な生活に強い
- 欲望や感情におぼれない
6.アスペルガー症候群を改善する
- ソーシャル・スキルズ・トレーニングは活用度が高い
- 言語療法を行い、会話のスキルを高める
- 行動を分析し、メッセージを読み取る
- 症状に応じて薬物療法を行う
- 作業療法やデイケアを行う
- 遊びを通して社会性を養う
- 一対一でのカウンセリングを行う
- 家族を支える
[感想]
私は、友人にこういうことで悩んでいると相談された時に、なんとなく「アスペルガー症候群じゃない?」と言ってしまいました。これをどう思われるか分かりませんが、私はひどいことを言ってしまったと思いました。友人からは後日「ネットで調べたら私と一致しすぎてこわい」と言われて、ますます罪悪感でいっぱいになりました。その友人はそれを気にしていないのが幸いですが、過去にもどって発言をなかったことにしたいとさえ思います。この本は、とても勉強になりました。