きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』原田曜平

以前と比べて、ヤンキーって減ってますよね。本書によると、ヤンキーという言葉の発祥は1970年代という説が濃厚らしいです。そして、彼らはこれからの日本社会における有力な消費者となるといいます。 ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)…

『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』枝廣淳子

度々一極集中が問題となり、地方との格差が話題になります。本書では持続可能で幸せなものにするためにどうしたらいいのかと考えていきます。「未来は地域にしかない」という考えに、私は共感しました。 地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)…

『男子劣化社会』フィリップ・ジンバルドー

草食系男子が囁かれるようになって久しいけれど、日本だけでなく、アメリカでも同様であるらしい。さらに、先進国の若い男性は総じて、家に引きこもってゲーム・ポルノに興じる傾向にあるだといいます。 男子劣化社会作者: フィリップ・ジンバルドー,ニキー…

『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』ピーター・ゴドフリー=スミス

タイトルに惹かれました。本書では、頭足類にmindが備わっていることを示唆するエピソードがいくつも紹介されています。頭足類と人間は大きく異なりますが、人間と相対化して読んでいくと面白いです。 タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源作者: ピー…

『〈運ぶヒト〉の人類学』川田順造

アフリカで生まれ、二足歩行を始めた人類は、空いた手で荷物を運び、世界にちらばっていった。この〈運ぶ〉という能力こそ、ヒトをヒトたらしめたのではないか?と人類学に新たな光を当てる冒険の書。 〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書)作者: 川田順造出版社/…

『ミルクと日本人』武田尚子

対価を払って牛乳を入手するのは経済的領域であるが、牛乳が栄養価の高さから、対価の支払いが可能な層だけ牛乳を飲んでいればよかったわけではなかったらしい。牛乳を通して近現代社会を探索する一冊。 ミルクと日本人 - 近代社会の「元気の源」 (中公新書)…

『残業税 マルザ殺人事件』小前亮

最近、働き方改革という言葉をよく聞くようになりました。短編集『残業税』の続編の長編小説で、マルザと呼ばれる残業税調査官が殺された!ところから話が進みます。働くことについて考えさせられます。 残業税 マルザ殺人事件 (光文社文庫)作者: 小前亮出版…

『イメージを読む―美術史入門―』若桑みどり

企業も役所も学校もイメージを利用しなければ、製品を売ることも、共同体をまとめることも、心をひきつけることもできません。無数のイメージに取り巻かれ、その影響を受け、それと共に暮らしています。 イメージを読む―美術史入門 (ちくまプリマーブックス)…

『〈西洋美術史を学ぶ〉ということ』高階秀爾 千足伸行 石鍋真澄

突然ですが、美術館に行くことありますか?私は美術館の企画展によく行きます。もちろん観るだけでも得られるものは大きいのですが、やっぱり前提知識があれば更に楽しめたなと毎度反省してしまいます。 “西洋美術史を学ぶ”ということ作者: 高階秀爾,石鍋真…

『AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか』江間有沙

人工知能は社会にどのような変化を起こすのかを、感情論に流されず、その舞台裏を含めて整理されています。だれがどんな議論をしているか、今後どのような議論が重要かを教えてくれるような本著でした。 AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか (DOJIN選書…

『<対話>のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの』中島義道

著者は、なぜ日本の人々は無意味で暴力的な言葉の氾濫に耐えているのか?と問いかけ、日本的思いやり・優しさこそが、<対話>を妨げていると指摘する。少し懐疑的に読みましたが、面白い一冊でした。 「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの (P…

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

家族関係は、人格形成に大きな役割を果たす。家族の形態が変わりながらも、愛情をかけてもらって、結婚という人生の新たなスタートまで渡されるバトン。自分に取り巻く、大事なものに気づかされる一冊。 【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された作…

『グスコーブドリの伝記』宮沢賢治

タイトルにもなっている「伝記」を広辞苑で引くと「個人一生の事績を中心とした記録」とあります。私の好きな宮沢賢治さんですが、自分の伝えたいことを物語の中に落とし込まれている作品に魅かれます。 新編 風の又三郎 (新潮文庫)作者: 宮沢賢治出版社/メ…

『よだかの星』宮沢賢治

私が最も好きな作家のひとりです。彼の小説は大好きなんですが、特に詩集『春と修羅』を読んだ時の衝撃は忘れられないですね。今回はかなり短い作品にはなるのですが『よだかの星』を紹介していきます。 よだかの星 (日本の童話名作選)作者: 宮沢賢治,中村道…

『本日は大安なり』辻村深月

記事を書いている今日は「仏滅」で、明日が「大安」だということに気づきました。日常のなかで、六曜を気にすることないですよね。今日の六曜が気になったのは初めてかもしれないです。本日は仏滅なり。 本日は大安なり (角川文庫)作者: 辻村深月出版社/メー…

『ラーメンの歴史学――ホットな国民食からクールな世界食へ』バラク・クシュナー

ラーメン好きですか?私は大好きなので思わず手に取ってしまいました。序に「歴史と食――この二つは明らかに表裏一体のもの」と書いてあって、それは他の本を読んでいて感じるところだなと思いました。 ラーメンの歴史学――ホットな国民食からクールな世界食へ…

『君主論』ニッコロ・マキャベリ

世間一般的に悪名高いと思われる本著。人間の現実を通して、指導者の決断とは何かをは、道徳論ばかりが語られていた当時の社会では、極めて画期的だった。私が印象的だったものをピックアップしてみた。 新訳 君主論 (中公文庫BIBLIO)作者: ニッコロマキアヴ…

『ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 』マイケル・ピュエット クリスティーン・グロス=ロー

私たちは、パターン化された反応に陥りがちだという。気づかないうちに、常に決まった行動をして、これまで通りの行動にしばられず、自分を変える可能性を限定しないためにはどうすればいいのだろうか? ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを…

『なぜ世界は存在しないのか』マルクス・ガブリエル

哲学は興味あるけど、難しそうで手が伸びません。そんな私が買ってみたのが本著なんですが、何ヶ月間も寝かせておりました。何か読みたいと思った時に本著と目があったので、この機会に読んでみました。 なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)作者: …

『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』山極寿一

思わず手に取りたくなるようなタイトル。ゴリラを研究対象として人類の起源をさぐっている京都大学の偉い人ということは知っていました。前から気にはなっていたんですが、やっと読むことができました。 ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」作者: …

『砂糖の歴史』アンドルー・F・スミス

甘いものは好きですか?私は大好きです。多くの人が口にするようになったのはこの数百年で、人類を魅了してきた砂糖の歴史について描かれた本を読んでみました。食べ物の歴史は興味深いものがあります。 砂糖の歴史 (「食」の図書館)作者: アンドルー・F・ス…

『服従の心理』スタンレー・ミルグラム

盗みや殺しや暴行を心底嫌っている人でも、権威に命令されたらこうした行動をあっさりしてしまいがちだという。そういう心理の根底には何があるか気になって、分かりやすい訳ですぐに読破してしまった。 服従の心理 (河出文庫)作者: スタンレーミルグラム,山…

『二コラ・テスラ 秘密の告白』二コラ・テスラ

ニコラ・テスラって知っていますか?私はというと、某ゲームアプリで出てくる人物で、トーマスエジソンのライバルということは知っていたくらいです。たまには伝記を読んでみるもの面白いと思いました。 ニコラ・テスラ 秘密の告白 世界システム=私の履歴書 …

『特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録』特掃隊長

自分の知らない世界を知ることが好き。おそらく自分が就くことがないであろう職業の体験談は興味深く、読んでみたくて購入した。グロいものは苦手で少し心配してたけど、本著と向き合うことができた。 特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録作者: 特掃隊…

『朝が来る』辻村深月

辻村深月さんのこと好きな読書家の人はかなり多いと思う。私もそのひとりなんだけれど、彼女の小説は私の感情の言語化できていない部分を丁寧にすくってくれる。今回も、すぐに一冊読み終えてしまった。 朝が来る (文春文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: …

『たたかう植物――仁義なき生存戦略』稲垣栄洋

雑草の知識ってほとんどないですよね。私は本著をみるまで、恥ずかしながら興味もあまりなくて、なんで読もうと思ったかというと友達に薦められたからで、私もだれかにオススメしたい一冊になりました。 たたかう植物: 仁義なき生存戦略 (ちくま新書)作者: …

『共産党宣言』マルクス エンゲルス

少し前に指導教授から薦められた本です。前から読もう読もうと思ってたものの、引き延ばしにしていた一冊。岩波文庫に手をだすものの、小説とかに比べて読むのに時間かかってしまうのがいまの悩みです。 マルクス・エンゲルス 共産党宣言 (岩波文庫)作者: マ…

『自殺について』ショウペンハウエル

タイトル買いしました。私は吉本ばななさんの『キッチン』の主人公のように、私も「自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。でないと生きている気がしない」。決して、自殺したいわけではない。 自殺について 他四篇 (岩波文庫)作者: ショウペンハウ…

『大不平等――エレファントカーブが予測する未来』ブランコ・ミラノヴィッチ

経済的な不平等を感じたことはありますか?私はというと幼少の頃から貧しく、親からお金を沢山もらえる家庭がとても羨ましかった。家に何もなったから、図書館に籠って本を読むようになったんだけどね。 大不平等――エレファントカーブが予測する未来作者: ブ…

『キッチン』吉本ばなな

私は、読んでいる時に「私にもこの気持ち分かる!この感情を文字で表現してくれる小説家にやっと出会えた!」となった時が、小説を読んでいて一番良かったと思える瞬間です。他の人は、どうなのだろう。 キッチン (福武文庫)作者: 吉本ばなな出版社/メーカー…